花の色

スイス留学中の女子大生

やっぱ研究者は夢がある

ずっと理科が好きだった。なんの迷いもなく理系を選択し、東工大に進学した。面白い大学だったし、色んな人との出会いが財産になった。

高校生くらいまでは、研究者ってめっちゃ夢がある仕事だと思っていた。でも研究室配属されてから、なんかちょっと違うなあって。今にして思うと、学部4年や修士で大発見なんて普通できるはずもないんだけど。IntroductionとDiscussionだけは大げさなのにResultがしょぼい、みたいな。先生の政治力みたいなものも垣間見たし、事務書類が研究者の仕事の多くを占めている現状も知った。博士は就職難民になりがちで、修士卒が安牌。同級生は、アカデミアより実務の方が絶対楽しいと言って就職していく。修士進学率9割を誇る理系単科大でも現実はこんなものなのか、と思ってしまった。

ずっと留学はしてみたいと思っていて、学部4年でその気持ちがさらに強くなった。外国ならば、思い描いていた研究者がいるはずだと期待していたんだと思う。

結論、留学には来てよかった。純粋に、研究って楽しいなと思った。

  1. 研究室は自習室ではない。研究はひとりでするものではない。わからない時は質問すべきだし、面白いと思ったら伝えるべきだし、どうしてもつらい時は相談できる。
  2. 研究室とは異質空間で、まれに魔物が住んでいる。細かな説明は省くが、理系院生なら察しがつくだろう(※「研究室 ブラック」「助教 嫌い」などでググってみよう)。研究しかしてこなかった人は、他の人生の楽しみ方を犠牲にし続けてきた人である。相手を不快にさせる言い方しかできない悲しい生き物。人間と意思疎通のできない孤独なモンスター。研究室の地縛霊、早く成仏できるといいね、と優しい気持ちをもとう。どこの研究室にも何かしらいる。
  3. ゼミは自分の頭の良さをひけらかす場所ではない。自分がしていること、分からないこと、興味があることを紹介する場である。何々に詳しいのは誰々、という情報の共有は、プロジェクトの進行に役に立つことが多い。分からないことを明確にすると、良いアドバイスがもらいやすい。わかんないですで何もやらないより、ぐちゃぐちゃでも良いから何かを見せれば、それをたたき台に建設的な意見がもらえる。
  4. 研究は自己満足である。すぐに世のため人のためになるとは言えない。でもどんな論文でも、Referenceに多岐にわたる分野・国・年代の文献を引いている。わたしが書き進めている創薬AIの論文では、1944年のロシアの土壌微生物の論文や、1982年のアメリカの理論化学の論文も引用している。偉大な先人たちの功績が、2018年を生きる日本人の修士学生に引用されるなんて想像もつかなかっただろうと思う。論文は、publishされれば自分の成果は半永久的に人類史に記録される。もしかしたら将来、全く想像もつかない何かに応用されるかもしれない。そこになぜだかわたしはときめいた。

夢がない仕事は多分ないし、夢が見出せないなら天職ではないからやめた方が良い。

学問は、頭を良く見せるアクセサリーではない。

この1年、全く新しいテーマに取り組んで、たくさん読んでたくさん助けてもらって、あっという間の楽しい1年だった。